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  • 試算 日本は先進国から転落も

    4月17日 5時11分
    試算 日本は先進国から転落も
     
    日本経済は、最も楽観的なケースでも、2030年代以降は経済成長率がマイナスに陥り、1人当たりのGDP=国内総生産で見ると、先進国から転落しかねないという試算を経団連のシンクタンクがまとめました。

    経団連のシンクタンク「21世紀政策研究所」は2050年までの日本経済の姿について複数のシナリオに基づいて試算しました。
    それによりますと、生産性の上昇率が先進国並みを維持するという最も楽観的なケースでも、人口の減少などで2030年代以降、日本経済はマイナスに陥るため、GDPはインドの3分の1以下の規模になるとしています。
    また、1人当たりのGDPも韓国に抜かれて世界18位となるなど、先進国から転落しかねないとしています。
    一方、財政の悪化が成長率を押し下げるという最も悲観的なケースでは、2010年代以降マイナスに陥り、1人当たりのGDPは世界28位となって先進国から完全に転落するとしています。
    そのうえで、政府に対し、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加などを通じてアジアなど新興国の成長を取り込むことや、歳出の削減や消費税率の引き上げなど、財政再建の取り組みを先送りしないよう提言しています。
    これについて21世紀政策研究所の森田富治郎所長は「このまま行くと日本は没落するが、財政の再建など取り組むべき課題を一つ一つ解決していけば、再び強い経済を取り戻すことができる」と述べました。(NHKニュース)

     
  • アップルにあって民生電機3社にないもの
    「ロマン」「ソロバン」「ガマン」
    藤森裕司 バークレイズ・キャピタル証券マネージング・ディレクター

    ダイヤモンドオンラインより

    【第252回】 2012年4月2日
     悲劇的な決算を迎えるパナソニック、シャープ、ソニーの民生電機3社。なぜ3社はアップルになれなかったのか。スティーブ・ジョブズのように自社製品が世界をどう変えるのかという未来図(ロマン)を示し、組織を先導する強力なリーダーがいなかったというのはその答えの1つだ。しかし、他に2つある。キャッシュ化速度の違い(ソロバン)と、難局を耐え、乗り越える力(ガマン)だ。

    苦境に立つ民生電機業界の真の原因は何か?

     2012年3月期の合計最終赤字が1.2兆円を超える予定のパナソニック、シャープ、ソニーの民生電機3社。その凋落ぶりは指摘されて久しい。

     2月以降の株価は、シャープを除けば戻り基調ながら、震災前の水準からは、約40%下回った水準で放置されている。2月1日にはソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長が、2月28日にはパナソニックの大坪文雄社長が、3月14日にはシャープの片山幹雄社長が退任すると発表、異例の3社そろっての社長交代劇となった。

     電機3社の苦戦の背景には、いくつかの要因が考えられる。そこには、1)外部要因、つまり経営陣や会社が、主体的にコントロールすることが難しい要因と、2)企業独自の失敗、いわば内部要因が混在している。

     概して、経営陣のコメントからは外部要因に責任を求める風潮があり、株式市場の参加者からは内部要因に責任を求める声が多い。しかし、これらを峻別して分析することで、問題の本質を見失うことなく、今後の処方箋を考える上で有効なヒントが得られよう。

     外部要因とは、経営陣が努力してもコントロールすることが難しいものである。ただし、以下で言及する為替レートや法人税負担などは、環境や制度次第で変化し得るものもある。実際、2月以降の株価の底入れの背景には、「円高の一巡」という外部要因が大きく影響したように思われる。

     一方で、構造的な外部要因も存在する。以下では、「製品サイクル」の存在を構造的な外部要因と捉えて議論したい。他方で、内部要因は、企業革新によりコントロールが可能なもので、今後の新マネジメント体制下での変革に期待したい部分である。

    確かに外部要因は逆風だったが…

     過去5年間の為替相場を振り返ると、円はドルに対して30%円高に、ユーロに対して30%円高となった。一方、競合企業の韓国メーカーでは、ウォンコストの低下は追い風で、ウォンはドルに対し約20%減価している。

     サムスンにとって100ウォン/ドルの変動は、年間約1兆ウォン強(約700億円)の営業利益の変動要因である。特に韓国内に製造拠点を有する半導体、液晶パネル、電池等のデバイスは、ウォン安のメリットを享受したことは間違いない。

     また、韓国の法人税率は、住民税を足し合わせても24.2%と、日本の40.69%に比べて16%ポイント以上低い。韓国の法人税率は04年までは29.7%だったが、その後、2度にわたり減税されている。また、減価償却費に関しては、韓国では加速償却が認められており、半導体等の製造装置では償却期間が4年と、日本の5年より短いというメリットもある。

    問題は構造的な外部要因「普及率30%のジンクス」は打ち破れず

     一方で、外部要因の中でも、構造的な要因として、「製品サイクル」の存在を指摘することができる。

     図表1は、左軸に売上高営業利益率(マージン)を、右軸に主な製品の国内普及率をプロットしたものである。マージンは、1957年度以来のパナソニックの数値と、1988年度以降はソニー、シャープ、パナソニックの加重平均した値である。超長期のトレンドとしては、残念ながらマージンは右肩下がりである(ちなみに、過去最高益は2007年度である)。

     図表1のなかで重要なのは、マージンにはサイクルが存在する点だ。具体的には、主要な製品の国内普及率が30%に達した年に、必ずマージンがピークアウトするという法則が成り立ってきた。1960年度:白黒テレビ、1970年度:カラーテレビ、1984年度:ビデオデッキ、1996年度:携帯電話、2007年度:薄型テレビという具合である。

     直近のマージンのピーク(2007年度)は、薄型テレビのサイクルに相当し、その後、金融危機や、エコポイント/国内でのアナログ停波特需はあったものの、2007年度のマージンを上回ることはなかった。

     普及率が30%に達する時点は、技術革新による製品の付加価値の追加的な改善力が低下し、コモディティ化が本格化する時点と見なすことができる。「普及率30%のジンクス」の視点からすると、各社のTV事業の苦戦は、起きるべくして起きたと表現することができる。国内エコポイントによる需要のかさ上げにより、延命期間があった分、その反動減が大きく出たというのが、2011年度の状況ではなかろうか。

    次の成長ドライバーは何か?

     図表2示すように、現在のテクノロジー関連業界の成長ドライバーは、明らかにスマートフォンである。当社ではこれを、「ケータイのPC化」と表現している。つまり、ARMコアを採用した低消費電力チップの性能の向上やiOS/Androidの普及により、スマートフォンは、PCでできることをケータイで実現したのである。換言すると、クラウドを活用してPCの携帯性を高めたとも言える。

     2012年のスマートフォン業界は、ローエンド端末の台頭による低価格化が進む点が懸念されているが、まだ普及率は10%強に過ぎず、「30%のジンクスの法則」に従えば、ハードウエアでの差別化が十分可能な時期にある。次世代iPhoneでのインセルタッチパネル(液晶ディスプレイ内部にタッチパネル機能を内蔵する方式。薄型化、軽量化、省電力化が可能になる)やさらなる高精細ディスプレイの採用の可能性、チップ性能の向上、サムスンのフレキシブル(壊れにくい)OLEDパネル(有機ELパネル)採用など、注目される提案もまだまだ多い。

     2012年後半からはますます、「PCのケータイ化」と表現すべき潮流が本格化するだろう。2012年第3四半期末以降にリリースされる予定のWindows8は、タッチパネルやARMコアCPU採用により、省電力/薄型・軽量化を実現可能とする。スマートフォン市場で磨かれた技術が、PC市場に飛び火し、PC市場のユーザーが求める「ケータイのように、携帯性に優れる(より薄く、軽く、低消費電力)、タッチパネル採用のユーザーインターフェイスで使いやすく」を満たしていくだろう。

     以上の変化は、部品コスト(BOM)の劇的な変化を生む。具体的には、CPUコストの低下、DRAM(随時書き出し、読み出しが可能な半導体メモリ)搭載容量の低下、ディスプレイの薄型/高精細化、HDD(ハードディスク)→SSD(フラッシュメモリドライブ)への切り替え、リチウムイオンポリマー電池の普及、クラウド対応投資の増加などである。

     もちろん、消費者にとっては価格が低下するメリットをもたらすし、新しいサービスやアプリケーション・ソフトの登場も期待できる。以上の変化から、エレクトロニクス業界の主要プレイヤーのポジションが激変する可能性がある。

    分かれる3社の進路

     次の成長サイクルを前に、3社の戦略は異なる。

     ソニーは、10億5000万ユーロを投じて、携帯/スマートフォン事業を手がけるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズを100%子会社化し、この新サイクルに積極的に乗る戦略を採った。3月27日に発表された新体制では、鈴木国正氏の傘下で、スマートフォン、タブレット、PCなどは一括して管理する体制に移行する。モバイル領域は、ソニーの元来のDNAであり、避けては通れない領域だ。今期のスマートフォン事業は、テレビ事業を抜いて最大の事業規模となる可能性もあり、スマートフォンの成否はソニーの成否に直結する。

     シャープは、アップルなど主要メーカーへの液晶パネル供給を通じて、消極的に新サイクルに乗る戦略と見ることができる。ディスプレイの薄型/高精細化のニーズの高まりは、シャープの既存の液晶パネル工場の付加価値を上げる潜在力を有する。14型モニター用パネルの価格は40ドル程度だが、13.3型ノートPC用の高精細パネルの価格は130ドル程度の模様だからである。課題は、大口顧客の確保と、モジュールを含めたソリューション型ビジネスへの転換力だろう。

     3月27日に発表された鴻海グループとの戦略的提携は、ディスプレイの薄型/高精細化のニーズを取り込むチャンスを高める可能性があると思われる。技術流出を危惧する声もあるが、シャープの生産技術と鴻海グループのモジュール技術や顧客関係を連結することで、サムスン電子など韓国メーカーに対抗しうる体制が整うこととなる。

     一方、パナソニックは、スマートフォンのサイクルで戦うことを諦め、白物家電や車載用バッテリー、B2B事業、“まるごとソリューション”など、異なる土俵で戦う戦略である。スマホの欧州展開などは行うが、あくまで事業ドメインの個別最適の戦略と見なすことができる。

     各社の戦略の成否は、歴史が証明することとなるだろうが、以下のような内部要因の解決なくして、成功はおぼつかない。

    民生電機業界の苦戦の背景にある内部要因とは?

     内部要因には、1)意思決定システムの制度疲労ともいうべきガナバンスの問題と、2)企業価値の創出を意識したキャッシュ・フロー管理力の欠如があったように思われる。ガナバンスの問題は、経営トップの責任論のみならず、いわば、既存の事業部や子会社群の枠組みを超えて新しい顧客を生み出すという本来のマーケティング発想の欠如も含まれる。

     一方、キャッシュ・フロー管理力に関しては、合理的な投資意思決定プロセスの欠落、完結できなかった事業プロセスの見直しなどが、課題視されるべきだろう。

     内部要因の1)に関しては、創業経営者の時代、つまりビジョナリーが夢の実現のために進路を示し、全社がそのビジョンに向かって結束していた時代には問題になることはなかった。

     今日の日本企業は、米アップルの故スティーブ・ジョブズ氏や、サムスン電子のイ・ゴンヒ氏のように、創業者が君臨する企業の強みを噛みしめているだろう。この課題は、言い換えると「ロマン」の欠如である。時代の先を読んでいたはずのソニーが、なぜアップルに先を越されたのか?ビジョン不足の体制下で、事業部最適の弊害、事業部と販売部門との収益管理責任の不整合、OSの選定などでの意思決定の遅延などが克服できなかったのだろう。

     従って、内部要因の2)が非常に重要になる。当社ではこれを「ソロバン」の問題と捉えている。

     例えば、パナソニックの三洋電機の買収価格は、他社の過去の事例などに比べて割高との指摘があった。PDP(プラズマディスプレイパネル)事業への過度な傾斜と、その後の液晶パネル工場への投資も、軌道修正はもっと早くできたはずだ。シャープの10G工場への投資も、経済合理性を超えた要因はなかったか。当時、サムスン電子などライバルメーカーは、60型以上の世界のテレビ需要を精査し、堺工場(10G:第10世代)工場の建設には経済合理性が乏しい点を見抜いていたのだから。

    キャッシュ化速度に注目

     弊社では、「ソロバン」の重要性を見る上で、「キャッシュ化速度」の変化に注目している。

     キャッシュ化速度とは、運転資本の回転日数を表したもので、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)と同じものだが、パナソニックの「中村改革」の知恵袋として活躍した経営コンサルタントのフランシス・マキナニー氏が、Velocity of Cash(現金の流通速度)と命名したのが語源である。キャッシュ化速度は、以下の式で定義される。

    「売上債権回転日数+在庫回転日数-買入債務回転日数」

     キャッシュ化速度を改善するには、在庫削減は当然ながら、売上債権や買入債務の「サイト」を変更する点に議論が偏りがちである。但し、本当に重要なのは、業界全体のキャッシュ化速度、言い換えるとサプライチェーンを効率化するかという視点である。マキナニー氏が、Velocity of Cashとあえて呼んだのには、こうした含意がある。

     例えば、いわゆる中村改革を通じて02年~06年までキャッシュ化速度を大きく改善させたパナソニックでは、マーケティング会社に仕入れ権限を持たせた流通改革、製品の世界同時立ち上げ、そのためのソフトウエアのプラットフォーム化などを行った。パナソニックは、中小部品メーカーに対しては、現金で支払うという伝統を堅持してきた会社で、サイトの変更によってキャッシュ化速度を改善することは最近までは行っていない。

     図表3では、主要企業の2010年度の数字を対象に、縦軸にキャッシュ化速度を、横軸に投下資本利益率(ROC=Return On Capital)をプロットしたものである。円の大きさは売上規模を表す。キャッシュ化速度は上へ行くほどマイナスとなる。つまり速くなるということだ。

     縦軸と横軸は、「税引後営業利益+減価償却費等-設備投資-運転資本の増減」で定義されるフリー・キャッシュフローを代弁している。つまり、ROCは投資効率を、キャッシュ化速度は運転資本の増減を表現し、図表の右上へ行くほど、企業のフリー・キャッシュフロー創出力は高まる。

    なぜキャッシュ化速度が大事なのか?

     キャッシュ化速度が重要な理由は3つある。第1に、キャッシュ化速度は、事業プロセスに根ざし、その変化そのものがバリューチェーンの再構築の結果として表れる。つまり、キャッシュ化速度の変化は持続性を有する。

     人員削減や設備の減損は、一時的に人件費や償却費の利益化につながり、ROCは右方向へシフトするが、これには持続性はない。「良いリストラ」と「悪いリストラ」を見分けるためにも、キャッシュ化速度は重要なのだ。

     第2に、キャッシュ化速度は、運転資本の増減というフリー・キャッシュフローの構成要素であり、企業価値に直結する。例えば、売上拡大やマージン改善は、企業価値の構成要素であるフリー・キャッシュフローに間接的に影響する。だが、十分条件ではない。

     第3に、キャッシュ化速度は日数で表現されるために、外部環境(市場成長率や為替など)に左右されにくい。売上が減る局面でも在庫削減に努めることで、日数ベースでは管理が可能である。多くの企業が中期経営目標として発表する売上高や利益額、ROEなどの目標は、外部要因で簡単に変化してしまうが、本来、企業は管理可能な数字にコミットすべきだ。

    特筆に値するアップルのキャッシュ化速度

     アップルの成功は、革新的な製品によって導かれたと一般には信じられている。しかし実は、アップル成功の背景には、キャッシュ化速度改革が存在する(図表4)。

     今でこそアップルは、マイナスのキャッシュ化速度を持つが、過去はそうではなかったからだ。ちなみに、キャッシュ化速度がマイナスということは、例えばiPadが実際に売れて売上が立つ前の段階で、すでに仕入れ代金は回収できている、ということだ。図表5は、アップルのキャッシュ化速度を、3つの構成要素に分解し、時系列で見たものである。ジョブズ氏が1997年2月に復帰、ティムクック氏が98年3月に入社した頃から、アップルのキャッシュ化速度は劇的な改善を見せる。

     具体的には、製品数の削減、自社工場の削減とODM(相手先ブランドによる設計製造)メーカーの活用による在庫の短縮、主要サプライヤーの削減(100→24社へ)、PCの開発期間の短縮化、生産ロットの大規模化や発注精度の改善による部品メーカーとの取引条件の改善を断行した。コストアップ覚悟で、製品を空輸する手法や、当初はキャッシュ化速度の改善にはつながらなかったが、その後大きな成果を生む自社小売店舗網への投資もユニークな戦略だった。

     ちなみに、08年時点でアップルは全米第3位の家電小売り業となっている(1位はベストバイ、2位はウォルマート)。小売業は現金回収が早いのみならず、需要をコントロールできるというメリットがある。サプライチェーン改革の要諦は、需要を正確に予測することであり、アップルは「デマンドチェーンの構築」という基本に忠実な戦略を断行した。

     大事なのは、iPodの発売される01年以前に、上記のようなキャッシュ化速度を早めるための事業プロセス改革が進んでいた点だ。キャッシュ化速度がマイナスならば、在庫リスクを気にすることなく新製品を投入でき、ヒット商品を生み出す確率が高まる。これらの改善が、iPodやiPhoneというモンスター商品を生み出した要因の一つであろう。ソニーのケースでは、ゲームのハードウエアを除けば、1つの製品で月産100万台規模の新製品を製造することはまずない。

    日本企業の現状

     パナソニックは中村改革を通じてキャッシュ化速度の改善に成功した。中村改革はキャッシュ化速度改革であり、軽くて速い会社を目指した改革は、マキナニー氏が問う「サッカーボール理論」を体現した改革だった。但し、大坪社長が就任した06年以降は劇的な改善はなくなり、直近ではキャッシュ化速度が低下し始めている(図表6)。

     一方でソニーである。出井改革以降で行われた構造改革では、人員削減など目先の経費削減の域を出なかったため、運転資本の改善はあまり見られなかった。但し、08年以降は、調達改革や工場の売却を通じて、事業プロセスに変革の兆しが見えていた。現状は、液晶テレビの在庫増に直面し、踊り場にある。

     シャープのキャッシュ化速度は、05年度にピークを迎えている。その後に改善を見せた時期はあったが、堺工場の設備手形の増加が背景にあり、実体は悪化を続けていたと見ることができる。工場の稼働を起点とする事業モデルにより、工場稼働率の維持のために、在庫は増加し続け、ソフトランディング・シナリオは完全に頓挫してしまった(図表8)。

    まずはソロバン改革から

     アップルのように事業プロセス改革に成功したものの、その後、業績の低迷を余儀なくされた企業の代表例がデルである。だからといって、ビジョナリーの個人能力に頼ることが難しい日本企業の現状では、「ロマン」に依存する戦略は機能しないだろう。まずは、「ソロバン」の改革、つまりキャッシュ化速度のアップにつながる事業プロセス改革を行うべきではないか。

    「ソロバン」の改革は、単なる固定費削減とは異なる。キャッシュ化速度改革によって、既存の低成長事業からもフリー・キャッシュフローを生み出し、その原資を持って次のチャレンジを可能にするものである。ロマンとソロバン、そしていま、何よりも大事なのは「ガマン」して難局を乗り切る覚悟だろう。

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  • ソーラー発電大国・ドイツの落日 収益急減 最大手メーカー破綻

    2012.4.4 12:13

     ドイツの太陽電池最大手Qセルズが4月3日、裁判所に破産手続きを申請し、経営破綻した。ドイツでは再生可能エネルギーを買い取る制度を受け、太陽電池業界が急成長してきたが、近年は供給過剰による電池価格の暴落や中国企業との競争で収益が減少。さらに政府は買い取り価格の大幅引き下げを決めた。太陽光発電の上に暗雲がたちこめている。(SANKEI EXPRESS)

     買い取り引き下げ

     共同通信によると、ドイツは2000年、送電業者に太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電力の全量買い取りを義務付け、買い取り価格を設備導入時から20年間固定する「固定価格買い取り制度」を採用、急速な普及につなげた。

     中でも太陽光発電は買い取り価格が高めに設定され、関連企業の団体「ソーラー事業連合会」によると、設備容量は約2400万キロワット。2位のスペインや3位の日本の4倍以上に上る。

     普及に伴う太陽光発電パネルの価格下落を受け、政府は定期的に買い取り価格を10%前後の幅で引き下げてきた。連邦議会(下院)は4月1日以降に導入した太陽光発電について買い取り価格を20~30%引き下げるとした法案を3月末に可決。連邦参議院(上院)は5月に同意する見込みだ。

     脱原発に影響

     法案によると、屋根に取り付けるなど10キロワット以下の小規模発電は1キロワット時当たり24.43セント(約27円)から19.50セント(約21円)に下がり、規模が大きい場合は削減幅が増える。小規模発電は全量買い取りをやめ、来年から80%に。今年の太陽光発電の設置は昨年の3分の1に低下する見通しだ。

     ドイツは東京電力福島第1原発事故後、22年末までの「脱原発」を決定。再生可能エネルギーの割合を20年に35%、50年に80%まで引き上げる目標を掲げる。野党は達成には、太陽光発電の普及が不可欠として買い取り価格の維持を主張する。

     一方、フィリップ・レスラー経済技術相は、ドイツで太陽光発電が占める割合は全体の3%にすぎず、買い取り価格が高すぎるとして「市場原則に合った価格体系が必要だ」と強調。

     政府には価格高止まりで電気料金の高騰が続くと、再生可能エネルギーの普及に支障を来しかねないとの危機感も強い。

     業界にダメージ

     ドイツの太陽光発電業界が受けるダメージは大きい。発電パネルの価格下落の背景には中国メーカーの安値攻勢もある。

     経営破綻したQセルズは1999年に創業。固定価格買い取り制度によって07年に太陽電池生産量で世界一になった。しかし09年には業界トップの座から陥落。価格下落圧力や業界の過剰供給に苦しみ、11年決算では大幅赤字を計上していた。

     ドイツではソロン、ソーラーミレニアム、ソーラーハイブリッドなど同業他社の破産が相次いでおり、買い取り価格引き下げで、太陽光発電関連企業の業績はさらに落ち込むとみられる。

     ソーラー事業連合会のカルステン・ケルニヒ会長は「太陽光発電は大規模な送電施設が不要で、ドイツのエネルギー政策への貢献が大きい。このままでは業界10万人の雇用が脅かされる」と警告する。

  • 中国経済成長の終焉 2012年は冬の時代

    2012年03月12日(月)石平

     3月5日に開幕した中国の第11期全国人民代表大会(全人代)第5回会議において、温家宝首相は冒頭の政府活動報告で、今年の経済成長率目標を昨年の8%から7.5%に引き下げることを表明した。

     中国政府が自ら定める「成長目標」が7%台になるのは2004年以来8年ぶりであるから、この「引き下げ表明」は国内外で大きな波紋を呼んだ。日本の一部のマスメディアや専門家は好意的に捉えて、「中国政府は成長戦略の転換を積極的にはかった」と評しているが、果たしてそうなのであろうか。

    すでに下り坂だった中国経済

     温首相の「引き下げ表明」が行われた背景を理解するのには、まず近年以来の中国経済のパフォーマンスを見てみる必要がある。実は、昨年から現在に至るまで、中国の産業と経済全体はすでに下り坂に転じている。 

     たとえば成長の象徴である自動車市場の場合、10年の全国の自動車販売台数が前年比32.44%だったが、11年は2%台にまで激減した。そして今年1月の新車販売台数は前年同月比で26%減となったと中国汽車工業協会は発表している。 

     自動車産業が不況になれば当然、鉄鋼産業にも多大な影響を与えることになる。実際、過去数十年間、中国の高度成長と共に凄まじい発展を遂げてきた鉄鋼産業は、実は10年から成長に陰りが見え始めた。たとえば鉄鋼業界の利益率は04年の8.11%をピークに下降し、10年は2.57%と、全国の工業各野の中で最低レベルとなり、11年にこの数値がさらに下がった。今年に入ってからも、鋼材市場は消費が伸び悩み、価格は継続的に下落する一方、在庫だけは急速に増えている。中国鉄鋼工業協会の発表では、1月末時点の全国26カ所の主要鋼材市場での鋼材の在庫量は1574万トンと、前月から22.02%増加したという。

    鉄鋼業界トップたちの悲鳴に相次ぐ企業の倒産

     こうした中で、中国首都鉄鋼集団の朱継民董事長(会長)は「中国鉄鋼業界にとって12年は冬の始まり。全業界が一層困難な状況に備えて準備を急ぐ必要がある」と語り、もう一つの鉄鋼大手の武漢鉄鋼(集団)公司の鄧崎林総経理(社長)は「中国の鉄鋼業はすでに厳冬期に入り、それが今後5年も続く」と語るなど、中国の鉄鋼業界のトップたちは口をそろって「鉄鋼業の冬」に悲鳴を上げているのである。 

     「冬」を迎えたのは何も国有大企業だけではない。広州市の地元新聞の『広州日報』は1月3日付の記事で「輸出の低迷と国内の人件費・原材料費の高騰」が原因で、「広東省内の輸出向け服装企業の倒産ラッシュが起きている」と報じた。記事はさらに業界の人の話を引用して「年内に3割程度の企業が倒産するだろう」との予測を行った。 

     状況の厳しさは中国の全産業に行き渡っている。1月8日、国務院発展研究センター企業研究所は「中国企業発展2012年報告」を発表し、その中で「2012年は中国企業にとっては今世紀以来もっとも困難な一年となる」と指摘する。その理由としたのはやはり、「内外市場の低迷と生産コストの上昇」である。 

     つまり、金融引き締め政策の実施による投資の縮小が国内市場の低迷をもたらし、欧州債務危機の発生が外需の低減をもたらした中で、折からのインフレ進行が人件費などの生産コストを押上げた。その結果、今まで「投資と輸出の拡大」と「安い人件費」によって支えられてきた中国の産業発展が凋落の道をたどり始めたのである。 

    加速する不動産バブルの崩壊

     その一方、金融引き締め策の実施はまた、不動産バブルの崩壊を加速させている。中国指数研究院が3月1日に発表したところによると、中国100都市の不動産価格は今年2月までにすでに6カ月連続で下落しているという。その中で、たとえば首都の北京の場合、2月の不動産平均価格は前年同月比で約3割も暴落したと、北京当局が発表している。去年9月頃から始まった不動産バブルの崩壊は現在でも進行中なのである。 

     こうした中で、実は昨年秋頃から中国国内では、中国経済の今後に関する悲観的な見通しが急速に広がっている。

     たとえば、中国銀行が昨年10月12日に発表した「中国経済金融展望報告」というレポートでは、「失速」という言葉を使って「12年に中国経済が失速する危険性が大きくなっている」との衝撃的な警告を発しているのがその一例である。

    元経済官僚の悲観的見通し

     その1週間後の10月19日、全国人民大会財経委員会副主任の要職にある元経済官僚の呉暁霊氏も同じように悲観的な見通しを示している。彼女はある経済関係の全国会議の席上、「中国経済は今までの高度成長を維持するのはもはや無理なことで、これから長期間、苦痛の時代に入り、政府と国民が長期的困難に備えるために、準備をしておくべきだ」と発言し、国内で大きな波紋を広げている。要するに国家レベルの責任ある立場の高官がついに、中国経済はこれから「苦痛」の衰退期に入ることを認めているのである。

     それから1カ月後の11月21日、今度は別の専門家がそれ以上の深刻な見通しを示した。中国の「国家発展改革委員会」直属の「マクロ経済研究院」の副院長兼研究員を務める王一鳴氏である。 

     「国家発展と改革委員会」というのはその前身が「国家計画委員会」だった中央官庁で、中国の経済運営の中枢を担う要の部門である。その「マクロ経済研究院」の副院長を務める王氏は当然、中国政府のトップレベルの経済ブレーンの一人であろうが、彼が11月21日付の中国共産党機関紙「人民日報」掲載のインタビュー記事に登場し、中国経済の今後に関してこんな意味深な見解を示した。  

     「今までの30年間にわたって中国はいわば2桁の高度成長を続けてきたが、来年からはそれが終了し、今後は中国経済が徐々に長期的な減速期に入るだろう」

     それは、上述の呉暁霊氏の見通しとはほぼ同じものだが、問題は王一鳴氏の考える中国経済の「減速期」が一体どれほどの長さのものなのか、である。 

     それに関し、王氏が出した答えは、実は「10年から20年」という驚きの想定である。つまり中国のトップレベルの経済ブレーンの王氏が、中国経済は今後、「10年から20年の減速期」に入ることを予測しているのである。もちろん、この長い「減速期」を経て、中国経済が再起できるような保証があるわけもない。現実的に見て、今までの中国の30年間にわたる経済高度成長は、まさに今年で終焉を迎える、ということである。 

     そして今年に入ってからも、1月6日付の『経済参考報』の掲載論文は専門家の見解を援用して「中国経済は12年から低成長期に入る」と論じたように、今の中国では、12年からの経済減速はすでに織り込み済み事項として語られている節がある。

    金融引き締め政策を継続する結果……

     こうした中で国内では、「政府が今の金融引き締め策さえ止めてしまえば経済が回復に向かうのではないか」、との声が上がっている。だが、インフレ傾向が依然として強い状況下では、政府にそんなことが出来るはずない。実際、昨年12月から今年1月にかけて、中国の金融政策の要である中国人民銀行(中央銀行)は5回にわたって「穏健な貨幣政策の継続」を強調しているし、同銀行の周小川総裁も今年1月4日、「新財経」の取材の中で、「12年はインフレを油断してはならないから、貨幣政策の変更はできない」と語っている。温家宝首相が元旦から行った地方視察の中でも、「中央としては引き続き穏健な貨幣政策を実行する方針を明確にした」と発言した。そして温首相が3月5日で行った前出の「全人代政府工作報告」でも、「物価の安定化」をはかることを今年の経済運営の要務の一つとして強調している。 

     つまり、インフレの進行を恐れるあまりに、多少の微調整を行いながらも金融引き締め政策を概ね継続していくというのが中国政府の明確な意思である。

     そして金融引き締め政策が継続される結果、投資の低迷による産業の不振も現在進行中の不動産バブルの崩壊も避けられないから、中国の国内企業と経済はまさに今から転落していく傾向が強くなろう。

     中国政府が今年の経済成長率の達成目標を7.5%に引き下げることの意味がご理解いただけたであろうか。

     だが、何の事はない。要するに政府が目標を引き下げなくても、どうせ成長率が自ずと下がっていくのだ。だから政府としては先に目標を引き下げた方が後々になって面子も保てるだろう、という程度のことである。 

     いずれにしても、今後における中国経済の転落は不動のすう勢となっており、高度成長は確実に終焉を迎えたわけである。

 

 

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